ゾウの時間、私の時間

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【読書メモ】世界を変えた10冊の本 池上彰

池上彰さんの世界を変えた10冊の本を読んだので、メモに残します。
 

 

世界を変えた10冊の本 (文春文庫)

世界を変えた10冊の本 (文春文庫)

 

 

 
  • この本があるからこそ、イスラエルは今も存続し、中東に確固たる地歩を築いていると、池上さんは考える。
  • なぜユダヤ人は迫害されるのか?ユダヤ教の改革運動をしたイエスは死刑にかけられます。本音ではイエスを殺したくなかったローマ帝国から派遣されたピラトは、ユダヤの人々に対して、イエスを十字架にかける必要はあるのか?と尋ねます。すると人々はイエスを十字架にかけろと叫び、その血の生協は我々と子孫にあると言ったのです。だからキリスト教徒の中には子孫は報いを受けて当然だと考える人がいるのです。
  • それからユダヤ人はヨーロッパでも迫害を受け、卑しい職業とされていた金融業にしかつけませんでした。やっとつけた仕事を頑張って財をなすと、今度はそれを疎まれ、ますます、嫌われたのです。
  • 第一次大戦で大敗したドイツは、仮想敵を作ることで国民をまとめようとした。その仮想敵の標的となったのがユダヤ人。ドイツはアーリア人という優れた民族なのにユダヤ人によって貶められていると考えた。
 
聖書
 
 
 
  • ユダヤ教旧約聖書の実、キリスト教旧約聖書新約聖書2つの聖書としている。イスラム教はさらに1つ加え3つを大事な経典にした。それがコーランです。ただし最後のコーランが最も大切な存在だと考えている。何故かと言うと神様の言葉を扱った預言者であるモーセもイエスから作られた旧約聖書新約聖書もあるのに人間は神様の言いつけを守らなかった。だから最後に神はムハンマド預言者と選び、彼に最後の神の言葉を伝えたと言うわけ。だからコーランを1番大事にしている。
  • キリスト教と同じようにイスラム教でもやがて世界の終わりが来ると信じられている。世界の終わりが来ると死者たちは地中から起こされて神の前に引き出され裁きを受けます。生前に良いことを多くやっていれば天国に行きますが、悪いことが起きれば地獄に行きます。
  • 一般の人は死んだら世界の終わりが来て、最後の審判を待ち受けるのですが、アッラーのために戦って死んだ人は、すぐに天国に行ける。つまりジハードで死ぬ事は天国の特急券
  • ジハードを日本語で聖戦と訳されるが、もともとは努力と言う言葉から生まれており、イスラムの教えを守る努力がジハード。
  • イスラム原理主義自体は暴力やテロと関係なく、貧しい人を援助したり、医療活動をする組織もあるので、多くの住民に支持されている。ただし、イスラム復興運動のためなら暴力も許されると考える組織が生まれた。
 
 
  • この本は宗教が経済活動に思いもかけない影響を及ぼしたという本。
  • プロテスタントカトリックではプロテスタントの方が企業の管理職や高等教育を受けること6匹のが高かった。ウェーバーはこれでプロテスタント支配によって資本主義の精神が生まれたのではないかと考えた。
  • 19世紀半ばまでヨーロッパの人々は生活できるだけの収入があればそれ以上に働こうとはしなかった。しかし資本主義の精神を持った人たち、ガンガン働く者たちが出てきた。その理由が働くことこそが神様にとって信仰を示すものであり、天国に行くことが約束されると考えたから。
  • 富が危険なものとみなされるのは、怠惰な休息や罪深い生活の境地の誘惑となる場合だけなのである。そして富の追求が危険なものとみなされるのは、将来を心配なしに安楽に暮らすことを目的とする場合だけである。職業の義務を遂行することによって富を獲得することは、道徳的に許されているだけでなく、まさに命じられているのである。
  • 資本主義の精神はキリスト教プロテスタントの倫理によって生まれた。これがマックスウェーバーの分析である。しかしプロテスタントがアメリカに渡るとやがて職業の義務だけが残り、宗教的なバックボーンは消滅してしまったとウェーバーは指摘する。禁欲的なプロテスタントの倫理が強欲の資本主義の精神を生んだと言うことで、この本は大きな衝撃を与えた。
 
 
  • マルクスの理論は労働価値説と呼ばれる人間の労働があらゆる富の源泉であると言う考え方。
  • 資本家は労働者を雇って働かせて新しい価値を生み出す。価値は蓄積されて資本となり、資本の奴隷になった資本家は利益を上げるために無秩序の競争に突入し恐慌を引き起こす。貧富の格差が拡大し、困窮した労働者は団結して革命を起こし資本主義を転覆させる。
  • 物には2つの価値がある。1つが使用価値でもう一つが交換価値。ただなぜ使用価値を持っている商品が一定の比率によって交換できるかというと、そこにはある共通したものが存在しているからに違いない、それが人間の労働ではないかとマルクスは考えそれを労働価値説と呼びました。林檎やみかんも栽培をするのに人間の労働が注ぎ込まれています。鉄鉱石から鉄を精製し、ダイヤモンド地下から掘り出す、いずれも人間の労働によって価値を得ています。使用価値または財は、抽象的に人間の労働がその中に対象化されている、あるいは受肉しているからこそ価値を持つ。
  • 労働者を長時間働かせて利益をあげる。これが絶対的剰余価値の生産。一方、労働力の再生産費を安くすることによって利益を上げる。これが相対的剰余価値の生産。
  • マルクスは、資本主義が崩壊した後の経済はどうなるのか、資本主義に変わる社会主義共産主義とはいかなるものなのかについては書いてなかった。
 
道しるべ
 
 
 
  • 人間たちによって作り出された農薬によって自然界は汚染されやがて野生の生き物は死にたい。春になっても生き物の声が聞こえない。沈黙の春がやってくるかもしれない、という問題提起の本でした。
  • 農薬の危険性について論じてきた彼女ですか、農薬全廃を主張したわけではありません。必要最低限の農薬を使うべきだと提案しています。
 
 
  • 地球上の生き物は神が創造したものではなく、自然界で進化したものだ。この理論だと人間は神が創造したのではなく猿から進化したことになってしまいます。もちろんダービンの理論では人間は猿から進化したのではなく、人間と猿は共通の祖先から枝分かれしたということ。キリスト教徒でこの考えに反発する人たちがいる一方、受け入れる人たちも出てきた。生き物が進化していく設計図を最初に想像したのは神であると言う考え方で受け入れ始めたのだ。
  • 社会ダーウィニズム。適者生存を社会に当てはめると弱いものは死ね強いものが生き残ると言うことである。この考えを当時の資本家立ら歓迎し、この思想は弱い立場の者への社会福祉を否定することにつながりました。社会福祉を充実させると、本来淘汰されるべき企業や個人が生き残り、経済社会に悪い影響与え、社会全体が弱くなってしまうと言うわけ。
  • また白人たちがアジアやアフリカで先住民を支配することを正当化する理論にもなりました。力のあるものがそうでないものに打ち勝つのは自然の摂理であると言う思想。
  • 他にも優生学も生まれた。障害のあるものや精神疾患のある者等は環境に適応できない劣った生き物だとして社会から隔離する対象になると言う恐ろしい思想。
 
 
  • 景気が悪くなったら政府が公共事業等で施術を増やして経済を活性化させる。金利を下げて企業の投資を活性化させる。今では景気対策としての常識となっていますか、かつては常識どころかとんでもない話でした。これを世の中の常識にしてしまった方がジョンメイナードケインズ雇用、利子および貨幣の一般理論と言う書物です。
  • 当時の考えでは景気が悪化すると税収が減るので、それに合わせて政府の支出を減らしました。これによって大量の失業者が生まれても、自由放任が正しいと考えるものでした。これに対してゲインズは時代遅れな考えだとして、それまでの主流の経済学を古典派とより激しく批判しました。
  • 経済活動を民間に任せておくと、不況になった時に企業が守りの姿勢になって新たな投資をしようとしない。これでは景気が悪くなるばかりなので、こういう時に政府が投資をすれば、投資が投資を呼ぶ形で経済が活性化する。これが乗数効果と呼ばれるもの。
 
資本主義と自由
 
  • 小泉純一郎首相の時代、竹中平蔵経済財政政策担当大臣とともに推し進めた改革は新自由主義路線とも呼ばれています。新自由主義思想を経済学においてうちたてたのは、アメリカの経済学者ミルトンフリードマンでした。
  • フリードマンの思想はリバタリアニズムとも呼ばれます。この思想を持った人がリバタリアン。この理念を一言で言えば、人に迷惑をかけない限り、大人が好きなことができる社会を目指すもの。麻薬だって合法化すれば闇世界の儲け口がなくなり犯罪が減少する。年金制度などの社会保障政策は政府がやるべきでなく民間企業に任せた方が効果的である。政府を信じず民間企業の活力に絶大な信頼を置く経済学者がフリードマンです。
  • ニクソン大統領とレーガン大統領にも経済政策を提言しているしイギリスのサッチャー首相にも大きな影響与えた。
  • 1962年に発行されたこの本で、世界の通貨の交換比率をアメリカのドルに固定している固定相場制を改め、需要と供給の関係によって交換レートが変動する変動相場制を提唱しています。当時は企業の提案として生の目で見られましたが、1971年、ニクソン大統領の時に変動相場制が実現します。今当たり前のような変動相場制がフリードマンによるものでした。
  • 政府はろくなことをしないから信用できない。それよりは個人の事を守ろう。これがフリードマンの思想。つまり小さな政府を求め、個人の自由を最大化しようとした。
  • 政府は安全保障や治安維持などの役割さえ果たしていればよくてそれ以上の事はすべきでない。また政府の権力は分散されるべきで、国よりも県、県よりも市にすることが望ましい。自分の住む街のやり方が気に食わない時、それが下水処理にせよ、区画整備にせよ、学校制度にせよ、さっさと別の街に引っ越せば良い。そこまでする人は滅多にいないにしても、その可能性があると言うだけで権力乱用を抑止する効果がある。
  • 教育バウチャーと言う言葉を最初に提唱したのもフリードマン。アメリカの公立学校の教育は非効率で質が低い。なぜなら公立学校が教育を独占しているからである。教育の質を高めるためには、管理の強化でなく、市場メカニズムを導入すべきだと提案したのです。バウチャーとはクーポンのことで学校に通う年齢の子供が居る家庭にはバウチャーを配り家庭は自由に通う学校を選択する。選んだ学校にクーポンを出すことで学校はそのクーポンを政府ないしは自治体に渡して資金を得ると言う仕組みです。クーポンの代金は公立学校の平均的費用が想定されています。
  • 累進課税に効果がないとフリードマンはいます。ケインズ理論では貯蓄しがちな高額所得者から累進課税によって資金を吸い上げこれを低所得者社会福祉の形で渡せば、低所得者は貯蓄率が低く商品に使うから、社会全体の消費が拡大し景気対策になると考えられています。しかしフリードマンは神考えます。累進課税だと毎年の所得税にかかるから、すでに財産を持っている裕福な人には関係がない。つまりこれから富を築くをとする人の重荷になる。経済はこれから富を築くをとする人が大勢いることによって活性化し発展するのだから累進課税は経済発展に水を差す。
  • 累進課税の代わりにフリードマンは一律税率を主張します。個人所得税として最も望ましいのは、基礎控除を上回る所得に対する一律税率の適用である。累進課税だと稼げば稼ぐほど収める税額も増えるから、労働の意欲が削がれてしまう。税制をシンプルにすることによって、節税や税逃れを封じることができ、税収はかえって増加する。これがフリードマンの主張です。
  • もう一つの社長が法人税を打ち切ると言うことです。企業が税金を納めるのではなく、お金は配当として株主に渡し、株主が自己の所得の中から税金として収めると言うわけです。
  • フリードマンの主張は年金制度にも及びます。年金による所得の再分配は、主に若い加入者から年配の加入者への分配と言う形で行われる。現在の高齢者は収めた以上の給付を受けており、この状況はしばらく続きそうだ。一方、現行制度では、今若い加入者が高齢に達した時に受け取る給付は明らかに少ない。このような再分配をどんな根拠で擁護できるのだろうか。年金があまりに専門的で運営も専門家にほぼ一任されているため、社会保障庁のような政府機関を議会からきちんと監督するのは不可能になっている。←びっくりするくらい日本に当てはまるね。
 
☆☆☆
 
フリードマンの本は読んでなかったので、とても面白く感じた。今度読んでみよう!