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主に読書のメモになります。音声入力なので誤字脱字が多そう。

【読書メモ】植物はなぜ薬を作るのか 斉藤和季

斉藤和季さんの植物はなぜ薬を作るのかを読んだのでメモに残します。 
植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

 

 

  • 植物の成分は、すべての植物あるいは動物にも共通して存在する一次代謝産物とある植物私にしか存在しない二次代謝産物に分けることができる。二次代謝産物は植物種特異的に存在するので、特異的代謝産物あるいは特異的成分、特化代謝産物などとも呼ばれています。薬などに用いられる植物成分は多くの場合この二次代謝産物。
  • チンパンジーでさえ植物を薬として使っている。普段は口にしない苦味の強い植物の液を飲み、体調を回復させる。その植物の液を調べると、寄生虫の産卵を抑制する作用があることが分かった。
  • 生薬とは天然に由来する素材を精製せずに、複数の成分が混じり合ってままで薬として使う。生薬の例としては甘草、桂皮、大黄、麻黄、人参など。
  • 近代薬学はモルヒネの単離から始まった。1804年にアヘンからモルヒネが単離された。その後生薬から単離する研究が盛んになり、抗マラリア成分であるキニーネの単離をはじめとして、ニコチン、アントロピン、コカイン、エフェドリンなどな薬理活性アルカロイドが単離された。
  • 西洋医学では要素還元主義。東洋医学では全体システム主義で薬に対する考え方が違った。しかし近代になると全体システム主義的な東洋医学は、細部を考慮しないものとして批判された。
  • だけど還元主義的な考えでは生物の機能を説明できなくなってきた。だから、東洋医学と西洋医学を組み合わせるように最適化すべき。今では約90%の医師が漢方薬使用。
  • モルヒネは血圧低下や呼吸抑制のような強い毒性作用もあり、動物がケシを大量に摂取した場合は死に至ります。植物であるケシは身を守るための防御物質がモルヒネ
  • サリシンやサリチル酸は、植物の体内で病原菌等の攻撃を受けたときに、その攻撃を植物の全身に伝えると言う役割を担っている。つまり病原菌が来たぞと全身に伝え防御体制を整える。
  • タバコに含まれているニコチンは、成人ではタバコ2から3本、乳幼児は1本で致死量に達してしまう。植物の体内ではニコチンで昆虫や小動物などの捕食者に対する防御物質として使っている。
  • カフェインも成人で一度に10グラム以上摂取すると危険と言われている。これも昆虫に対する防御策。
  • コーヒー豆は木から地面に落ちて芽生えするときに大量のカフェインを周りの土に放出する。すると他の植物の芽生えが阻害される。
  • ポリフェノールには抗酸化作用があり、健康付きの人にとってはたまらない代物です。ポリフェノールがもつ抗酸化作用は、植物の体内でも同じ機能を果たしていると言われています。またポリフェノールは紫外線を吸収するので、植物をストレスから守ります。
  • 植物は抗がん剤のように、細胞の分裂に必須な微小管形成やDNA複製等を阻害して細胞分裂を止める化合物が含まれている。なぜ植物はそのような化合物を持っておきながら自身は平気なのだろうか。
  • 栄養飢餓状態では、外敵への防御物質を分解して栄養に変える。
  • 液胞内に毒性成分を蓄え、細胞内の核やミトコンドリアとは隔離。
  • 液胞の外で毒性成分を生成しても、すぐに糖を結合して毒性をなくして液胞に取り込む。外敵による攻撃があると、糖を外して毒で対抗。
 
☆☆☆
知らない世界が覗けて面白かったです。